名古屋地方裁判所 平成6年(わ)1079号 判決
本籍
名古屋市熱田区大瀬子町一二〇七番地
住居
同 昭和区折戸町六丁目五〇番地
鉄工業
山田佳
昭和九年一月六日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一六〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、肩書住居において、「トモエ工業所」の名称で鉄工業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 平成二年分の実際の総所得金額が六八九六万五九六四円で、分離課税による長期譲渡所得金額が一億〇六〇七万〇七〇〇円であったのにかかわらず、平成三年三月一五日、名古屋市瑞穂区瑞穂町字西藤塚一番地の四所在の所轄昭和税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が二三四四万二〇六七円で、分離課税による長期譲渡所得金額が一億〇六〇七万〇七〇〇円であり、これらに対する所得税額が三一八八万八五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額五四六二万四〇〇〇円と右申告税額との差額二二七三万五五〇〇円を免れた。
第二 平成三年分の実際の総所得金額が八一六七万一四〇一円であったのにかかわらず、平成四年三月一六日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が二八九六万八四〇六円であり、これに対する所得税額が九九一万四五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三六二三万九五〇〇円と右申告税額との差額二六三二万五〇〇〇円を免れた。
第三 平成四年分の実際の総所得金額が七三〇四万八一五一円であったのにかかわらず、平成五年三月一五日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が二五三三万九一八〇円であり、これに対する所得税額が七七三万九〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三一五六万七〇〇〇円と右申告税額との差額二三八二万八〇〇〇円を免れた。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 第一回公判調書中の被告人の供述部分
一 被告人の検察官に対する各供述調書
一 山田富久及び寺田茂二の検察官に対する各供述調書
一 佐々井暁の大蔵事務官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書五通(甲13、14、16、18、21)
一 大蔵事務官作成の査察官報告書(甲23)
第一の事実につき
一 昭和税務署長作成の証明書二通(甲1、6)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書二通(甲17、20)
第二の事実につき
一 昭和税務署長作成の証明書二通(甲2、7)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書二通(甲15、17)
第三の事実につき
一 昭和税務署長作成の証明書二通(甲3、8)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(甲19)
(法令の適用)
罰条 いずれも所得税法二三八条一項、二項(懲役刑と罰金刑併科)
併合加重 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(第二の罪の刑に)、罰金刑につき同法四八条二項
労役場留置 同法一八条
懲役刑の執行猶予 同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(検察官宇川春彦、弁護人後藤和男公判出席)
(裁判官 油田弘佑)